「GA4のデータが激減してるんだけど、なんで!?」
「Cookie規制の影響で広告費も高騰しているし、広告効果も分からない…」
「購入に至った特定ユーザーを紐つけてサイト内行動と広告効果を把握したい…ITPの影響で追跡できない?」
先日、DXPO東京で展示会ブースにお越しいただいたお客様からも聞かれましたし、QA ZEROに問い合わせいただいたお客様からもよく相談される、ウェブ担当者の3大お悩みです。
丸山と雑談をしていたとき、
「サイト改善に役立つ情報や意思決定のためのデータって、「個」よりも「母集団の傾向」を分析したほうがいい。Cookieレス時代だから、新しい分析手法のように言われているけど、実は以前からセグメントで分けてサイト分析してたはずなんですよねー」
という話になりました。
確かに「傾向分析」とか「匿名化・統計的手法の分析」とか「MMM」とか聞くと、まったく新しい分析、って感じますよね。
「個人データが取得できなくなった」からスタートすると、どうしても「今までできていたことができなくなった」だけにフォーカスされてしまうなぁ、と最近感じていたので、Cookieレス時代の「傾向分析」について丸山との雑談からまとめます。
目次
「GA4の数字が激減…」私たちが直面するCookieレス時代の壁
Cookieレス時代の到来により、Webサイト運用や広告施策の分析は大きな変化を迎えています。
サードパーティCookieの制限により、個別ユーザーの行動追跡が難しくなっただけでなく、Cookieが制限されることで広告配信の精度が下がり、広告費の高騰傾向に拍車をかけています。
さらに、GA4の数値もCookie制限の影響で激減していたり…とCookieレス時代への対応が急務となっています。
従来のように個別ユーザーを追跡し広告効果を測定する手法が限界を迎えている状況のなか、注目されているのが、匿名化・統計的手法によるWeb分析です。
個人を特定しなくても傾向を把握する分析手法を活用すれば、サイト改善や広告効果の最大化は十分に可能なんです。
なぜCookieが使えないと、こんなに困るのか?
サードパーティCookie制限の影響
従来、Webサイトでは サードパーティCookie を使って、個人の閲覧履歴や広告クリック履歴などユーザー行動を追跡し、広告配信やレコメンドの精度を高めていました。
最近では、プライバシー意識の高まりや規制(GDPR、CCPAなど)により、ブラウザやOSがサードパーティCookieを制限する方向に動いています。
このようなCookieレス時代において、広告配信やサイト分析でざっくりと以下のような問題が起こっています。
1.広告配信の精度低下
- 個別ユーザーの行動データが取得できず、詳細な広告効果測定が困難
- リターゲティング広告の精度が下がり、CPA(顧客獲得単価)が上昇
- 特に海外では、FacebookやGoogle広告などのパフォーマンス広告に大きな影響
2.データ分析の制約
- Cookieレスにより、同一ユーザーの複数端末利用や再訪問の把握が難しくなり、CVRやLTVの計測に誤差が出る
- これにより、コンバージョン率やROIの正確な把握が難しくなる
- Cookie同意バナーを入れていると、70%の人が拒否すると言われている中で、ほぼ計測できない
3.クロスサイトトラッキングの問題
- 複数サイト間での行動データ統合が難しくなる
- パブリッシャーや広告ネットワークが広告ターゲティングのために必要としていたID連携(IDFA、MAID、第三者ID)が機能しにくくなる
4.ユーザー体験への影響
- 従来のユーザー追跡型施策が期待通りに効果を発揮しにくくなる
- 「広告が自分に合っていない」「おすすめ商品が精度低下」といったUXが下がる
- パーソナライズやA/Bテストの精度が下がる
Cookieレス環境で直面する課題
Cookieが使えない環境では、従来の考え方でのデータドリブン運用は限界に達します。
例えば、特定ユーザーがどの広告に反応したかを追跡できないため、広告チャネルごとの投資効率を正確に把握することが難しくなります。
さらに、サイト内での離脱ポイントやコンテンツ閲覧の細部をユーザー単位で確認できなくなります。
また多くの方が直面している課題として、「GA4の数値が激減していて信頼できない」と感じていること。
- ブラウザの追跡防止機能(ITPやETP)の影響
- Cookie同意バナー設置によるバナー設定のミス
- Cookie同意バナー設置によるユーザーの拒否
など、GA4の数値が激減している理由には、Cookie規制が大きく影響している場合があります。
詳しくは「Cookieの今までと、これから」でまとめていますので、「Cookieについて詳しく知りたい」「Cookie規制の流れや代替技術について知りたい」方はぜひご覧ください。
この記事でも書いていますが、私たちQA ZEROチームは「ユーザー追跡について考え直すタイミングが来ている」と考えています。
個人を特定しなくても大丈夫!「傾向」を見るWeb分析の考え方
個人を特定しなくても、傾向を把握する匿名化・統計的手法によるWeb分析を活用すれば、サイト改善や広告効果の最大化は十分に可能です。
集計・統計情報で傾向を把握
Cookieレス時代におけるWeb分析の基本は「個人ではなく傾向を見ること」です。
ユーザー単位の行動追跡はできなくても、集計データや統計モデルを用いれば、サイト改善に必要な情報を十分に得られます。
そもそもサイト運用において大事なのは「傾向を把握して改善する」ことです。
ページごとの滞在時間や離脱率の傾向を確認したり、デバイス・地域・流入チャネル別のCTRやCVRの数値を観測したりしますよね?
実際に、UXの改善やコンテンツ最適化を行うときには、個人単位ではなく全体やセグメントに分けて分析し改善に活かす、という考え方でされている方が多いと思います。
なぜミクロではなくマクロなのか?データ分析の本当の目的
データ分析自体が目的ではなく、多くの場合は意思決定に必要な情報を抽出するために行われます。
そもそもデータは「記録」にすぎません。
そこから何を読み取るかによって、意思決定の材料になることもあれば、新しい法則性の発見や直感的な認識のきっかけにもなります。
Cookieレス環境では、どうしても個人単位の追跡は難しくなるため、ミクロ視点よりもマクロ視点で傾向を掴むことが重要になります。
統計学においても、サンプルや集計データから全体の特性を推測するという考え方が基本です。
実際のサイト分析でも「セグメントに分けて全体像を把握する」という手法は以前から使われていますし、個人データの有無よりも「傾向をどう活かすか」が本質です。
だからこそ、サイト改善においては傾向把握こそが直感的で有効なのです。
※「セグメントの重要性」については以下の記事も合わせてご覧ください。
Cookieがない時代の広告効果測定「MMM」とは?
MMMとは
MMM(Marketing Mix Modeling マーケティングミックスモデリング)は、見えにくい広告効果を可視化するため、過去の売上データ、広告出稿量、キャンペーン情報、季節変動などを統計モデルで分析し、どの広告施策が売上に貢献したかを推定する手法です。
1960~1970年頃、テレビCMや新聞広告、ラジオ広告などのマスメディア施策を対象に、回帰分析を使った広告効果分析を行い、定量的評価を行っていました。これがMMMの原点と言われています。
そして現在、Cookie規制やプライバシー規制により、個人追跡型のデジタル広告計測が制限される中、MMMが注目されているのです。
MMMもサイト分析も、個人を追わずとも、統計的に傾向を見れば意思決定できる、という原理が共通しています。
MMMについてはR SQUARED・吉永さんが書かれている「その分析、AIに任せられますか? ~生成AI×MMMで挑むマーケティング分析の最前線~」の記事が詳しく勉強になります。
【無料オンラインセミナー開催】Cookie規制の最新動向と対策を徹底解説
Cookieレス時代では、個人単位の詳細データは制限されます。
でもCookieがなくても、傾向を知ることでWeb運用・広告施策の成果を最大化できる時代が到来しています。
QA ZEROはまさにこの考え方に基づいて開発しています。
- 個人を特定せずCookieレスで計測
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