AI時代に効く直感力!「なんか違う」をサイト改善の武器にするソロモノフ帰納 – 丸山の頭の中 –

AI時代に効く直感力!「なんか違う」をサイト改善の武器にするソロモノフ帰納 – 丸山の頭の中 –

GA4の数字とにらめっこしながら「うーん、この数字、なんか肌感覚とズレてる…」と感じることありませんか?

たとえば直帰率。
データ上は高いのに「いや、うちのサイトのユーザーはこんなはずじゃない」と、モヤモヤした違和感。
丸山に相談していたとき、「実は直感とかシンプルな仮説って大事ですよ。AIの世界でもそうなんですけど、ソロモノフ帰納の考え方があるんですよー」と雑談になり、その話がおもしろかったのでまとめます。

数字は嘘をつかないって言いますが、この「なんか違う」って感覚、実はめちゃくちゃ大事なんだそうです。
直感や違和感、実は脳内で無意識のうちに「ソロモノフ帰納」が働いている証拠かもしれません。

ソロモノフ帰納とは?「シンプル is ベスト」のその先へ

ソロモノフ帰納、聞き慣れない言葉ですよね。でも、考え方はとてもシンプルです。
簡単に言うと、「観測されたデータを最もシンプルに説明できる仮説が、いちばん信頼できる」という考え方です。

たとえば「雨の日はアクセスが減る」という現象があったとします。
その理由を「天気の影響」「月齢」「ユーザーの星座運勢」「気圧変動」…と複雑な要因で説明するより、「雨だからアクセスが減るのかもね」っていう、たった一言の説明の方が「なるほど!」って納得感、ありませんか?

丸山の話を聞きながら、海外ドラマのメンタリストの中で出てきた「オッカムの剃刀」に考え方が似ている?と思いChatGPTに聞いてみました。

オッカムの剃刀は「無駄な仮説は切り捨てろ」という中世の哲学的な姿勢 。
それに対し、ソロモノフ帰納は「全部の仮説をちゃんと考えるけど、シンプルなやつを高く評価する」という、より数学的なアプローチでオッカムの剃刀を証明しようとしたもの、とも言えるそうです。

観点オッカムの剃刀ソロモノフ帰納
起源中世の哲学現代の情報理論
立ち位置経験的・哲学的原理数理的に定義された予測理論
根拠美的・思考法として有用プログラム長とベイズ確率で裏付けられる
性質選び方の「考え方」選び方の「数式と重みづけ」
共通点シンプルな説明を好むシンプルな説明に高い重みを与える

ソロモノフ帰納とAIの仕組み

ソロモノフ帰納の「シンプルで短い説明を好む」という考え方は、実はAIの世界でも非常に重要です。
機械学習モデルも、複雑すぎるモデルより、シンプルで汎用性の高いモデルの方が、未知のデータに対する予測精度が高くなることがよくあります。

母集団全体を一つの複雑なモデルで説明しようとすると、AIは学習データに過剰に適合しすぎてしまいます(これを過学習と言います)。
過学習したモデルは、学習データに対しては高い精度を出せるのですが、未知のデータに対しては予測精度が極端に低くなる傾向があります。
つまり、母集団が広すぎると、仮説は抽象的になりやすく、現場での応用が難しくなることがあります。これはソロモノフ帰納法が「信頼性が低い」と判断する「複雑で長い仮説」と同じ状態です。

じゃあAIはどうするのか?

大規模なデータセット全体で一つのモデルを作るよりも予測精度を高めるために、データを類似性に基づいて自動的にデータをクラスタリング(分類)して、各クラスタ内でよりシンプルで短い規則性を見つけ出すプロセスを実行していきます。

ソロモノフ帰納は、「シンプルな仮説が優れている」という直感を、情報理論と確率論で数学的に裏付けたもの。そして、AI研究者やデータサイエンティストが、モデルの予測力を評価する際に、今も参照する考え方なのです。
そしてこの話は、サイト分析において人間の直感力が実はすごい、という話につながってきます。

「なんか違う」は脳内ソロモノフ帰納が教えてくれる!AI時代にこそ研ぎ澄ます直感力

日々の分析業務で感じる「なんか違う」という直感。

これは、これまで見てきた無数のデータパターンから、「こういうときはこうなるはず」というシンプルな説明(仮説)を、無意識のうちに導き出しているからなんです 。いわば、脳内ソロモノフ帰納が働いている状態です 。
普段と違うユーザーの動きを見たとき、「あれ?これまでの仮説じゃ説明できないぞ」と感じる。この違和感こそが、「なんか違う」の正体なんです 。

AIが高度な分析を瞬時にこなす現代だからこそ、この人間の「直感」による違和感の察知能力が、ますます重要になります。
AIが導き出した複雑なモデルを鵜呑みにするのではなく、そこに「なんか違う」と違和感を持ち、よりシンプルな説明を探求する。

数値の奥にある”本当に大切なこと”を見抜く力、それがAI時代に求められる直感力なのかもしれないですね。

「セグメント」が直感をデータで裏付け、「武器」に変える!

サイト全体の平均値だけを見ていても、初訪問者とリピーター、スマホユーザーとPCユーザー、検索流入と参照元…これらがごちゃ混ぜでは、どんなに頑張っても「シンプルで分かりやすい仮説」は見えてきません。
無理に一つの説明をしようとすれば、それは「すごく長くて複雑な説明」になってしまいます。これではソロモノフ帰納的に言うと「シンプルではない良くない説明」です。

シンプルに考えるためにも、母集団(=サイト全体の訪問者など)を特定の条件で小さなグループ(セグメント)に分けることが大切になります。なぜなら、母集団が「似たような行動をする人の集合」に限定されることで、より具体的で誰にでもわかりやすい仮説が見つけやすくなるからです。

例えば、

  • 「初訪問者は1ページだけ見て帰る」→「情報収集が目的」というシンプルな仮説で説明できます。
  • 「リピーターはフォームまでたどり着く」→「購入検討フェーズに入っている」と仮説を立てられます。

他にも例えば、記事を考えるときやターゲットユーザーを絞りたいときに、「人は欲望で動く」というのが短い式だったとしても抽象度が高すぎて使えません。
でも母集団の範囲を、「GA4で困っているウェブ担当者」と絞れば、「GA4のレポートを効率よく作って怒られずに褒められたいという欲望で動く」と絞り込んで仮説を立てられます。

つまり、セグメントを分けることは、それぞれのグループに対して「圧縮された、理解しやすい仮説」を見つけやすくなることにつながります。

「圧縮効率」とは?

情報理論の世界では、規則性のあるデータは短く表現できるとされています。

  • 「1, 2, 3, 4, 5… 100」は「1から100までの数字」と短く表現できます。(=圧縮できる)
  • 「7, 42, 13, 88, 21」のような意味不明な並びは、一つ一つ書き出すしかありません。(=圧縮できない)

この「どれだけ短く書けるか」が情報の圧縮効率です。
ソロモノフ帰納においては、
圧縮効率が良い(=短い説明で済む)仮説の方が、未来を当てる力がある
と考えられています。

つまり、セグメント分けによって「この人たちはこう動く」という短く、再利用可能な説明を立てられれば、サイト全体の挙動も楽に説明できるようになるのです。

データの規則性を短く表現する力、そして未来を予測する「武器」へ

全員を一つのモデルで説明しようとすると、複雑になりすぎて「圧縮する式が見つからない=理解しづらい=仮説がブレる」という悪循環に陥ってしまいます。
だからこそ、「分ける」のが重要になります

圧縮しやすい単位に分けて、小さく、正しく説明する。
それらを繋ぎ合わせることで、ようやく全体像が見えてくる。セグメント分析はこういう考えからきています。

最初の「なんか違う」という直感をそのままにせず、セグメントに分けて見てみる。そうすると、説明しやすく、「短くて信頼できる」仮説が出てきます。それが改善への第一歩になります。

数式がわからなくても大丈夫!AI時代のマーケターは「ソロモノフ帰納」を「武器」にしている

「ソロモノフ帰納」と聞くと、「なんかAIっぽい難しい話を丸山が始めたよ…」と思って聞いていましたが、 実際に自分たちも、日々この「ソロモノフ帰納」の考え方を無意識に使っているんですよね。

  • 「あれ?なんかおかしいな」と違和感に気づく。
  • 「このユーザー層だけ見てみよう」とセグメントで分けてみる。
  • 「たぶん、こういうことじゃないかな?」とシンプルな仮説を立てて試す。

これ、ぜんぶソロモノフ帰納的な思考です。

「直感→仮説→検証」の流れはサイト分析をするとき自然とやっている
AIが進化する現代において、数字だけを追う人にはない、すごく強い「武器」だと思います。

数字とロジックだけで語る時代は終わり。
「感覚と数理の間」をうまく行き来できる人が、これからの分析をリードしていくんじゃないとわたしたちは考えています。

直感 × AIエージェント = もっと深く、もっと早く、本質へ届く最強の「武器」

でも直感だけじゃ足りないときも上司に説明できないときもありますよね。

「その違和感、データ的にはどう見えているんだろう?」
「この仮説、他に当てはまるセグメントはないかな?」

もっと早く、広く、深くデータを見たい!
そんなときに頼れるのが、QAZEROのAIエージェント「Brains」です。

Brainsは、単なる数字の羅列ではなく、サイト全体のアクセスログから「意味のある視点」を提案してくれる、まさにあなたの分析の相棒です。

「このセグメントでコンバージョン率が落ちているかもしれません」
「最近このページの経由率が上がっていますね」

といった、短くて実用的な「仮説のタネ」を提示してくれます。
言い換えれば、Brainsは、直感が捉えていた「うまく言葉にできない違和感」を、ちゃんと言語化してくれる存在です。

人の直感と、AIのソロモノフ帰納的思考。

この2つが組み合わさることで、データ分析はもっと軽やかになり、本当に大切な**「本質」**に、ちゃんとたどり着けるようになる。 それこそが、AI時代を勝ち抜くための最強の「武器」になるのです。
そんな思いで、わたしたちはQA ZEROのBrainsを開発しています。

「Brainsってどんなことしてくれるの?」と興味を持たれた方は、ぜひいつでもご連絡ください。