インターネット市場が急速に成長する中、どの業界も専門人材の不足という課題にも直面しています。本企画は、対談の新シリーズとして主に人材難にフォーカスをあて、本音でカジュアルにお話するものです。今回は、広告運用のスペシャリストYuwaiの田中広樹さんとの対談第二弾ということで、Google広告の最新情報を皮切りに、広告業界のデジタル人材難について、その背景と対応策について語り合いました。(第一弾はこちらです。Yuwaiの田中広樹さんと丸山がCookie問題やらP-MAXやらGoogleやらいろんなことについて話しました。)。広告代理店と企業内の運用体制が抱える現状の課題、さらに効果的な人材育成方法や、これからの広告運用に求められる新たなスキルセットについて掘り下げ、インターネット広告運用の未来像を探ります。
国立小山工業高等専門学校卒
日本放送協会で放送エンジニアとしてキャリアをスタート、後にキャリアチェンジでインターネット広告の世界に飛び込む。
大手インターネット専業の広告代理店で約3年の勤務を経て、フィードフォースグループ株式会社(東証グロース)傘下のアナグラム株式会社にて創業期メンバー(第一号社員)として参画。同グループ傘下の株式会社フィードフォースの監査役も兼務しつつ11年8ヶ月従事し2023年8月に退職。後の2023年9月にYuwai株式会社を設立。
運用型広告の運用のほか、Google ショッピング(Google Merchant Center)、データフィード広告、Google タグマネージャー、Google アナリティクスなどマーケティング関連プラットフォームの活用に強みをもつ。
著書
目次
Google広告の最新事情
本日は神戸までお越し頂きありがとうございます。初めてのリアル対談ですね。本日はGoogle広告の最新事情についてお聞きしようと思っていたのですが、ちょうど田中さんに『いちばんやさしいGoogle広告の教科書』をお持ち頂きました。拝見したところ、P-MAXも含め、最新の内容が書かれているなと。そこで目次を掲載するとちょうどよいと思うので、掲載したいと思います。
下記目次のタイトルを読んでもらうと、どんなGoogle広告があって、何の目的に使えるかがわかります。
いちばんやさしいGoogle広告の教科書(インプレス) より
- Google広告を使いこなすための基礎知識
- Google広告のアカウントを作成してみよう
- [検索広告]運用型広告の基礎を学ぼう
- [ショッピング広告]ECサイト運営者は必ず実施しよう
- [ディスプレイ広告]圧倒的多数のユーザーに接触できる
- [動画広告]YouTubeに広告を配信しよう
- [デマンドジェネレーション]Googleのサービスに配信できるのが魅力
- [アプリ広告]アプリを持っていたら必ず実施しよう
- [P-MAX]Googleの技術を結集した究極の自動化
ありがとうございます。この本は前作「いちばんやさしい[新版]リスティング広告の教本」があるのですが、そちらの最新版としてGoogle広告に関する実務的な内容をわかりやすく伝えることを目指して書きました。執筆者は前回から引き継いでいますが、書籍の構成や内容は全てリニューアルされています。
Google広告に絞っているというのが面白いですね。
そうですね、Google広告は広告業界でも非常に大きなシェアを持っていますし、運用型広告を考えた時に第一選択肢になることも多いと思います。今後数年間は大きな変化がないだろうと予想しています。また、機能が非常に豊富で、これ一冊で5年ほど使える内容にしたいと考えました。広告の仕様が変わる前提で書いてはいますが、基本の部分をしっかりと押さえることで、多少の変更があっても対応できるようにしています。
長く使える内容というのはありがたいですね。書籍の中で、特にこだわったポイントはどこでしょうか?
初学者向けに、最初の章でGoogle広告の全体像を説明し、アカウントの作成や基本設定など、運用の基礎をしっかり押さえています。その後、各章で検索広告やディスプレイ広告、動画広告、アプリ広告などの詳細に入っていきます。これにより、基本的な部分を押さえた上で、自分の必要な広告タイプに応じて読み進められるようになっています。また、用語や操作方法も初心者にわかりやすいように丁寧に解説しています。
Google広告やYouTube動画広告など、広告を出したいメディアから逆引きできます。こういうアプローチの書籍は他になかった印象です。非常にわかりやすいですね。
ありがとうございます。初学者に概念や考え方の説明をしすぎると、どうしてもやりたいことがあっても実行が難しいということがあると思います。Googleは世界中のインターネットユーザーをターゲティングできる大きなプラットフォームを持っています。このような網羅性をもったGoogleに対し、まずは手を動かしながらインターネット広告の大切なポイントを覚えていくというアプローチを取れるようにしています。
このアプローチはちょっとした発明だと思います。Google広告の最新事情を知って、実際に上手に使いたい人はぜひ書籍をお買い求めください。内容がとても良いです。
インターネット広告の内製化の現状と課題
今日のメインテーマの一つが予想外に終わってしまいました笑。最近のもう一つのテーマがデジタル人材の育成や採用です。先日もある方からインターネット広告の内製化について質問を受けたのですが、田中さんはこの内製化についてどのようにお考えでしょうか?
そうですね、確かに内製化を考えられる方もいらっしゃいます。以前は広告代理店にすべてを任せるという企業が多かったのですが、最近は自社で広告運用を行うことで、コスト削減やノウハウの蓄積を目指す企業が増えています。ただし、内製化にはメリットもデメリットもあります。
なるほど、具体的にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
まず、メリットとしては、やはりコスト削減が大きいですね。外部の代理店に依頼するよりも、自社で運用する方が費用を抑えられることが多いです。また、内製化によって、自社のビジネスに最適化された広告戦略を立てやすくなる点も挙げられます。広告の運用者が自社の製品やサービスに精通しているので、より柔軟かつ迅速に戦略を変更することが可能です。
確かに、自社で直接運用することで、広告戦略をより細かく調整できるのは魅力的ですね。一方で、デメリットはどうでしょうか?
デメリットとしては、まず専門知識を持った人材が必要になる点が挙げられます。広告運用は高度なスキルを必要とするため、専任の担当者を育てるか、すでにスキルを持った人材を採用しなければなりません。また、広告運用は日々変化する技術やトレンドに対応しなければならないため、常に最新の知識を持ち続けることが求められます。このように、内製化には人材と教育に大きなコストがかかるという課題があります。
やはり人材確保と教育が大きなハードルになるのですね。特に、広告運用の変化が激しい今、常に最新の知識を追い続けるのは難しいかもしれませんね。
そうなんです。特に中小企業では、専任の広告運用担当者を確保するのが難しいことが多いです。そうなると、広告運用を担当する社員が他の業務と兼任するケースが出てきますが、これでは専門的なスキルを十分に習得できないことが多いです。結果として、効果的な広告運用ができず、結局は外部に頼らざるを得なかったり、そちらの方がコストも安い状況になることもあります。
広告代理店の人材不足とその要因
インターネット広告運用業界における人材不足ってどうなのでしょうか?事業会社だけでなく、広告代理店でも人材が不足していると聞きますが、そのあたりはどうなっているのでしょうか?
そうですね。人材不足の問題は、特に中堅の広告運用者に顕著です。広告業界では、A:ベテラン、B:中堅、C:若手のように分けた場合に、経験を積んだB:中堅の社員が次々と事業会社や他の企業、業界に移ってしまったり、独立してしまうことが多いんです。その結果、若手を育てる人間がいないという状況になりやすいです。
なぜなのでしょう?
俗に言うプレイングマネージャー問題ですね。広告代理店では、クライアントの期待に応えるために非常に高い成果が求められます。例えば、クライアントが設定したKPI(重要業績評価指標)を達成しなければならないというプレッシャーが常にあります。また、担当する顧客の数が多ければ、日々の広告運用やこなすべきタスクの数が多くなり、時間的な余裕がほとんどない状態が続くことが少なくありません。これに加えて、新しい技術やトレンドにも追いつかなければならず、若手の育成も任せられた場合、結果として中堅社員が疲弊しやすい環境になっています。
確かに、そのプレイングマネージャー業務はきつそうですね。
そうですね、広告代理店ではマネージャーやリーダーに昇進すると、プレイヤーとしての業務とマネジメント業務の両方をこなさなければならないため、その負担がさらに増します。そのため、「このまま代理店に残るよりも、事業会社に移って専門スキルを活かしながらも、プレッシャーの少ない環境で働きたい」という声が多く聞かれます(実際は事業会社に移っても数値目標は課されるわけなので、プレッシャーが少なくなると言うことはあまりないですが・・・)。もしくは独立ですね。その結果、AとCだけが残るといういびつな構造になりやすいのです。
第三の人材育成の方法
今のお話をお聞きしていると詰んでいるというか、、人材不足になってしまうのは業界構造として必然な気がしてきますね。
そうなんです。業界構造でもあるので人材不足の問題は難しいんですよ。だから私の今の仕事は、広告代理店の若手教育を任されたりしています。若手の子の壁打ち相手だったり、一緒に案件を見てアドバイスしたり。
あ、なるほど。確かに十分な経験を積んだ人が外部から関わるというのは理想かも知れません。事業会社向けにもやっていたりしますか?
ありますよ。先ほどの事業会社に転職した場合も、今度は広告運用だけじゃなくて、マーケティング全般を知らないと、太刀打ちできないんですよね。ですので、こんなはずではなかったと思う広告運用者の子もいて。そうすると、アドバイスをしたり、会社の中のキャリアパスを一緒に考えたりしますね。
なるほど。これは新しい組織形態かも知れません。そういういわゆる「インターネット広告運用の教育」みたいなお仕事ってあるんですか?
私も人の縁で始まっていますし、他にもいるとは思うのですが明確にサービスとして提供している会社は少ないかも知れません。ただ人材の出入りが激しい業界構造を考えると、私のように外部からコンサルで長く関われる人がいる方が、入れ替わりが激しい現場の担当者よりもその会社のことを知っていてよい、ということはあると思います。また結果が思わしくなかったら契約を切れば良いというリスクヘッジにもなりますしね。
事業継続性を考えても、外部のコンサルの方に入ってもらい、内製化するというのは良いアイディアな気がしますね。
まぁ広告運用のプロ目線でいうと、広告運用代行の方が売上げは大きくなりやすいので、こういうコンサルや教育のような仕事をする人が限られるということはあるかも知れませんね。
ただニーズとしては理にかなっていると思うので、今後このサービスを、それこそ田中さんが切り拓かれてもよい気がしますね。新しい料金体系があってもよいと思いますし。
インターネット広告は新しい運用体制がいいかも?第三者の役割
もともと田中さんって、アナグラムさんでエンジニア的な役割という印象だったのですが、お聞きしても多岐にわたる経験と知識をお持ちですよね。
そうですね。運用もやりながら、テクニカルな部分も担当していました。在席期間のうち後半の方では総務や経理といったバックオフィスも含めてチームを見ていました。さらには社内研修などもサポートしていました。特に独立を考えた際には、経理や法務なども経験していたおかげでスムーズに立ち上げられました。知識があったので、大変ではなかったです。
いろいろな分野を経験されているからこそですね。独立後も教育的な活動に興味があったのですか?
そうですね。アナグラムを退職する直前の時期では研修も担当していましたし、セミナーを通しての教育活動も行っていました。実はNHKの技術者時代から、電波の受信に問題がないかなどを調査する技術的な仕事に加え、電気屋さんに対してテレビの受信状態や対策について講習会や研修会を年に数回実施するなど、教育的な営業活動も行っていました。
それが現在の仕事につながっている感はありますね。
ある日、知り合いから若手のサポートをお願いされ、「全然やりますよ」という感じで始めたのがきっかけです。今もサポートを続けています。
第三者の関わるメリット
田中さんのサービスは、実際にAクラスのベテラン、Bクラスの中堅、Cクラスの若手・オペレーターという業界構造の中で、特にBクラスの人材不足に対処するように設計されているんですね。
ええ、まさにその通りです。オペレーションは慣れればある程度こなせるものの、クライアントのビジネスを成長させるためには、改善や戦略の知識が不可欠です。社内でOJTや研修がしっかりとできればいいのですが、リソース不足もあって難しいのが現状です。そこで、外部から支援できる私がサポートに入る形になっています。
なるほど、田中さんのサービスが補完的に入ることで、中堅層のスキルギャップを埋める役割を果たしているんですね。
はい、また私が指導に入ると、若い人たちも外部の専門家の意見を受け入れやすいようです。どうやら、上司よりも外部のアドバイザーからの意見の方が素直に聞けるみたいで、そういった意味でも外部支援には効果があると感じています。
広告業界全体が抱える中堅人材不足という構造的な問題に対して、田中さんのような外部支援が業界全体の安定につながると思います。実はうちもマーケティングやアクセス解析で似たような社内教育の役割を果たすことが多いのですよ。それもスキルを持った第三者というのは鍵な気がします。
広告運用に向いている人
これも最近いろいろな方に聞いているのですが、インターネット広告運用に向いている人ってどんな人だと思いますか?
そうですね、特に向いているのは興味関心が強く、自分から進んで調べることができる人ですね。疑問が湧いたらすぐ調べるタイプの人は成長が早いです。逆に、わからないことが何なのかがわからない人は、質問もできず成長が遅れがちです。質問ができる人は、何がわからないかを把握しているんです。これは重要な能力で、わからないことがわからないままでは、成長は難しいです。
若い人達の成長は、昭和と違う
最近の若い人たちの成長については、どんな傾向がありますか?
最近は「ファスト教養」という書籍でも言及されていましたが、若い世代は最短距離で効率的に答えを求める傾向が強いです。以前の世代では、何か問題があっても自分で試行錯誤して答えを見つけるという方法が主流でしたが、今の若者は回り道を避け、最短で解決したいと考えることが多いですね。
そういう傾向があるんですね。具体的にはどういう指導方法をとっているのでしょうか?
私は最近、まず答えを先に教えています。例えば、「これはこうするんだよ」と具体的な方法を教え、そこから逆算して「なぜそうなるのか」を考えさせる形です。これにより、若い世代が最短距離を把握し、その後はそのゴールに向けて学びを積み重ねていく流れが作りやすくなります。
逆算して考えさせることで、若い人たちにとって理解しやすくなるんですね。
そうです。答えを知った上でプロセスを辿っていくことで、パターンを見出しやすくなります。この方法であれば、彼らは自然に成長していきます。逆に、ゼロからすべて考えるようにすると、彼らには苦痛になってしまいます。
小説とかもじっくり読む時間もないですし、職人のように俺の背中を見て学べ、みたいなのは確かに非効率ですものね。すごく納得します。
はい、若い世代は「シャドーイング」に近い感覚で学ぶことが得意です。まずは正しい方法をなぞってみることで、最短で成長するのが彼らのやり方です。私たちの世代とは違うアプローチですが、時代に合わせて指導方法も変えていかないといけないですね。
価値観を素因数分解する
田中さんの考え方は面白いですね。教え方一つや、提供されているサービスについてもエンジニア的でもあり。
最近、自分の中で素因数分解がブームになってまして、マーケティングの現場でも一部やっているんですけど、例えば「ウェブサイトを改修して問い合わせを増やそう」というシンプルなケースがありますよね。この場合、具体的にどんなコンテンツやサービスを提供すれば良いかを考える時に、私は担当者に対して「このサービスを一言で表現するような要素をできる限り分解して付箋にたくさん書き出してみてください」とお願いするんです。
そのワークは、面白そうですね。
例えば「このサービスはこういう価値がある」と一人の担当者が考えていても、他の担当者は全く違う価値観を持っていることがよくあります。そこで「目線が合っていない状態でマーケティングをして、どうするんだ?」と指摘しながら、この目線合わせを目的としたワークショップを行います。全員が共通の価値を理解した上で「じゃあ、どのポイントを訴求していこうか」という話に持っていきます。
なるほど、顧客訴求を考えた時にコアコンセプトは大事だったりしますよね。
場合によっては、これまで取り組んでいなかった部分が「実は価値の一つだった」と気づけば、新しいサービスとして追加することもできます。こういった大きなものを逆算して細かく分解する作業を通じて、視点の統一や目標の再確認ができるようになっています。
目線合わせの重要度を感じたのが、先日プログラム言語のRubyについてXで少し燃えていたんですよね。どうやらRubyで型をもつかどうか?という点について、Ruby生みの親である松本さんに対していろいろ意見が飛び交っていたようで。ただRubyは元から型を持たないと決めていたようで、それが最初から価値観が理由と共に共有されていれば、問題は起こりづらかっただろうなと感じました。どこまで初期設定に入れるかは難しい問題ですけど。
マーケティングの場面でも「お客さんに対して何が提供できるか」というざっくりとした質問をするんですが、その時に一人ひとりの認識が違うと大きな課題になります。それを分解する作業を通じて「このサービスの真の価値はどこにあるのか」を全員が共有することができるんです。
なるほど。ファシリテーターがいることでブランディングの方向性も保てますし、新しいアイディア出しや初期ターゲティングにも役立ちそうですね。
私自身、分解して考えることの面白さにどんどん惹かれていってます。最近は研修の場面でもこういった分解の視点を取り入れていて、それが受講者の理解を深めるのにも役立っています。この「素因数分解」の考え方は私にとって大切な軸となっていて、マーケティングや研修、そして仕事全般においても使える考え方だと感じています。
定量分析だけは時代遅れに。定性を分解し科学する時代へ
今のお話をお聞きしてても、より本質的な価値というか全体像を分析し、把握していく作業ですよね。最近、自分の中で考えがまとまってきたんですが、やはり今は過渡期、あるいは転換期にあると感じています。定量的な分析が中心だった時代が終わりつつあるというか。
それはわかりますね。6月のECzineのイベントでもお話しましたが、たとえば、広告業界では「CPA(コンバージョン単価)」を指標にして、いくら広告費をかけてどれだけのリターンがあるかを測定していますが、このCPA偏重の考え方自体が、ある意味古い価値観になってきていると思います。広告の管理画面で見える数字はあくまで推測を含んでおり、真実とは異なる場合も多い。それなのに、多くの企業がその真実ではない数字を頼りに自動入札や効果の評価を行ってしまうという現状です。
なるほど。
この背景を踏まえて、私は、マーケティング全体を考えたら「いくら使っていくら儲かったのか」という視点が重要だと考えています。要するに、必要以上に数字を追いすぎても不毛だし、判断も間違えるのであれば、それよりは時間をクリエイティブな取り組みに割くことで、結果的に全体の成長につながると考えています。だからこそ、広告運用のサポートでも、過剰な数字の分析を避け、余計なことはせずに本当に価値のある施策に集中していますし、うまくいっています。
うまくいっていたら、納得してくれそうですね。
そうですね、重複してカウントされるコンバージョン(例:Google、Yahoo、Metaそれぞれで同一のコンバージョンが記録されるケース)がよくあるのですが、完全にユニークな数字で評価するのは技術的にもう難しいんです。再現性が確保できない分析や、そこに基づくアクションにあまり意味がないというのも一つの結論です。むしろ、実際の売上と広告費の関係性を俯瞰し、最終的に全体の目標が達成されれば良いのではないかと。
やはりプライバシー規制も含めて転換期ですよね。人々やビジネス活動に対して定量だけを信じる時代が終わり、定性面含めてもう少し全体像を正しく捉える新しい概念提唱が求められているというか。
確かに求められているかも知れませんね。先ほどの広告業界から人が辞める件にしても、メンタルが辛いから辞めたというだけでは本当の姿を捉えていないと思います。やはり起こった事象に対して、その人固有の問題も含めて逆算して素因数分解してみないと、次の適切な対策が取れません。
そう考えると、今までCPAとか定量とか、ある意味、人間を簡単に捉えすぎていたのでしょうね。それが実体に即していないから、判断も間違えるし成果も出づらいと。くしくもAIが出てきたことにより、今までファジーだと敬遠されがちな定性面においても科学が入る余地がでてきているし、田中さんのアプローチはまさに定性を分解し、解像度を上げる作業ですよね。
定性を分解っていい言葉ですね。人々の価値観や行動に潜む要素を分解し、そこから意味を見出していく時代なのかも知れません。今までのように数字だけで全てがわかるわけではなく、むしろ数字には表れないものこそが本質である可能性が高いです。だからこそ、私たちが取り組むべきは、その見えない要素をいかに把握し、対策に反映させていくかだと思います。
めちゃくちゃ面白いお話が聞けました。今日はありがとうございました!それではお食事に向かいましょう笑
ありがとうございました!いきましょう笑
アフタートーク。食事会の様子
食事会は、淡路島の地物を使った島おでんMIKEへ。実は地元が新潟の魚沼で一緒だったという意外な共通点もわかったり、話していた教育サービスや、インターネット界隈で果たせる役割のことなどで盛り上がりました。田中さんありがとうございました!田中さんへのお問い合わせはこちらまで。