AIに手伝ってもらうヒートマップ分析|メモからはじまる対話で分析がスムーズに進む

AIに手伝ってもらうヒートマップ分析|メモからはじまる対話で分析がスムーズに進む

広報担当の杏野です。
なんとなくセッションリプレイを見ていたら一日が終わりかけていました。
これはマズいと思い、分析をAIに手伝ってもらいました。

これまで、「ヒートマップの見方」と「セッションリプレイの見方」を記事にまとめました。記事を書きながら私自身も学べて、どこが読まれているのか、訪問者がどう動いたのかを、QA ZEROの画面で見て分かるようになりました。

でも、見えたものをどう読めばいいのかは、また別の話です。「よく読まれているところ」や「訪問者がどう動いているか」が分かっても、「じゃあ何をしたらいいの?」となり、何もせずにそのままにしてしまいがちです。

そんなとき、丸山さんと親しくてアクセス解析に詳しい運営堂の森野さんから「見ながらメモをして、データと自分の気づきをAIに渡すといいですよ」と教わりました。データだけでなく気づきも一緒に渡すと、AIが文脈まで分かったうえで読んでくれるそうです。

そこで今回は、見ながら書いたメモをAIに渡して一緒に読み解いてみました。

ヒートマップを見たときのメモ書きを、スクショと一緒にAIに渡す

やり方はシンプルで、ヒートマップやリプレイを見ながら気づいたことをメモして、画面のスクショと一緒にAIに渡すだけです。

今回使ったのはClaude(クロード)というAIです。会話しながら考えてみたかったので、使い慣れているClaudeにしました。

メモに書いたのは以下の3つです。

  • 見えたこと(どこが赤い、どこで止まっている、など)
  • 思ったこと(たぶんこうかな、という自分の見立て)
  • 分からなかったこと(なんでだろう?と引っかかったところ)

普段からClaudeを使っているのですが、多少雑なメモでも意図をくみ取ってくれるのでとてもありがたいです。なので、今回もきちんとした文章にしようとは思いませんでした(笑)
スクショのファイル名に「クリック少なめ、直帰率高そう」などと感想を書いて、そのまま渡したくらいです。

ヒートマップのスクショに、メモを添えてClaudeに渡しました
ヒートマップのスクショに、メモを添えてClaudeに渡しました

思っていたとおりメモ書きのままでちゃんと通じました。もし足りないところがあればClaudeが都度聞き返してくれます。難しい分析の言葉を使わなくても、気づいたメモ書きだけで対話を始められました。

最初は自分の記事で試してつまずいた

最初に分析対象のページとして選んだのは、前に書いたヒートマップの記事です。ところがデータが少なすぎて、Claudeにもはっきりしたことは分かりませんでした。

自分の記事ならよく分かっているし、どう読まれているのか分析してみたいと思ったのです。ヒートマップを開いてみるとメモしたいことがいくつかありました。

  • クリックが少ない。直帰率が高そう
  • よくある質問の「GA4と一緒に使えますか?」のところだけ赤い
  • スマホだと、押されているリンクがパソコンと違う

リプレイも見てみましたが、長くいる人はふつうに読んでくれているだけで気になるところは見つかりませんでした。ところが、ヒートマップを描くのに使われた訪問の数(有効データ数)は、パソコンで41件、スマホで8件しかありません。Claudeからは「ここから出せるのは結論ではなく、次に確かめることの候補です」と返ってきました。スマホの8件だと、1人か2人の動きで結果が大きく変わってしまうそうです。

ヒートマップの記事で「データが少ないうちは色だけで決めない」と書きました。それを自分の記事でさっそく確かめることになるとは思いませんでした。
そこで、サイトの中でいちばんデータが集まるトップページを見ることにしました。

自分の記事のヒートマップ。有効データ数は41件でした
自分の記事のヒートマップ。有効データ数は41件でした

トップページは「案内板」

トップページはじっくり読まれるページではありませんでした。メニューから知りたいページへ移っていく「案内板」のような使い方をしている人もいましたが、それは思っていたより少なかったんです。

今回見たのは、トップページの更新があった9月13日から10月12日までの1か月間です。まずスクロールマップを見てびっくりしました。最初の画面の下のあたりで、残っている人が30%前後まで減っていたんです。

ただ、上のメニューはよく押されていました。そこでメモには「みんな自分の知りたいページを見に行ってるのかな」と書いてClaudeに渡しました。

Claudeの読みも「メニューから次のページへ移っている人がいる」という点は同じでした。ただ、メニューのクリック数を足してみると44回ほどで、訪問の数182件のうち4人に1人くらいです。それだけでは30%まで減ることを説明しきれないそうです。

メニューも押さずにそのまま帰っている人も多いことになります。「みんな知りたいページに行ってくれている」という私の見立ては、少し楽観的だったようです。クリック数の合計と訪問の数を比べることで解釈が変わるのは、なるほど!と思いました。

平均滞在は9秒でした。メニューを選んで次のページへ移るならそれくらいで足りますが、すぐに帰ってしまう人が多いことも表しているのかもしれません。

トップページのヒートマップ(9月13日〜10月12日・パソコン)
トップページのヒートマップ(9月13日〜10月12日・パソコン)

※画像は9月〜10月時点のトップページです(現在はデザインが変わっています)

ここでClaudeから逆に質問されました。

「トップページに来た人に、いちばんしてほしいことは何ですか?」

私の答えは「デモを見るページへ行って、そのまま申し込んでもらうこと」です。そう答えると見るところが変わりました。「デモを見る」のボタンは、右上のメニューと見出しの下を合わせても、182件の訪問で3回しか押されていなかったんです。

「案内板」として使われてはいても、私が一番行ってほしい場所にはほとんど案内できていませんでした。ページの目的を決めてから見ると、同じヒートマップでも課題が見えてくるんだと思いました。

「なんでだろう?」と思ったリプレイをClaudeに聞いてみた

ヒートマップで課題は見えても、なぜそうなるのかまでは分かりません。そこでセッションリプレイを何本か見てみることにしました。

ただリプレイは数が多く、1本ずつ見ていると時間がかかりすぎます。そんなとき、森野さんから「長くいるのにずっと止まっている人や、やたら動きが早い人を見ると面白いですよ」とアドバイスをいただきました。そこで、そういう人のリプレイを選んでじっくり見てみました。

ずっと止まっているのにマウスは動いている人

Googleで検索して外部送信規律についての記事に来た人です。14分ほど滞在して記事を順番に読み進めていました。最後までは読まず、6割を過ぎたあたりで離れています。

読みながら何もないところを何度もクリックしたり、マウスを行ったり来たりさせたりしていました。ちょっと落ち着きのない人だなと思いましたが、私もやっていそうな動きです。

不思議だったのは最後のほうです。ページは7分半ほど止まったままなのに、マウスだけが動いたり止まったりしていました。

Claudeに聞くと、マウスの動きが記録されるのはカーソルがそのページの上にあるときだそうです。つまりこの人は画面の前にいたことになります。止まっていた7分半は席を外していたのではなく、読んで考えていた時間か、横に開いた別の画面と見比べていた時間かもしれない、とのことでした。

ページもマウスもしばらく止まったあとに急に動き出すなら、別のタブを見ていたり、席を外していたりすることもあるそうです。同じ「止まっている」でも、マウスを見ると違いが分かるんだと思いました。

同じ記事を何度も開いている人

一覧を見ていて、入ってきたページと離れたページが同じ記事なのに7ページも見ている人がいました。iPadで、X(旧Twitter)から来た人です。

リプレイを開くと同じ記事を7回開いていました。1回目は開いたまま17分ほどほとんど動かず、そのあとも何度か開き直しています。中には、開いてすぐ終わっていることもありました。

なんでこんなに何回も開くんだろう?とClaudeに聞いてみました。返ってきたのは、iPadやスマホでXのアプリからリンクを開くと、アプリの中のブラウザがページを読み込み直すことがある、という答えです。しばらく別のアプリを使ってから戻ってきたときなどに起きるそうです。

これは言われないと分かりませんでした。あらためてリプレイを見返すと、開き直すたびにページの先頭から前に読んでいたあたりまで一気にスクロールしていました。ブラウザは読み込み直すと前の位置に戻してくれるので、たしかにそう見えます。

動きが早い人

最後は、Googleから来て3分ほどで7ページを回った人です。最初にGDPRについての記事と、Cookieバナーについての記事を読んでいました。Cookieバナーの記事は私が書いたものです。読んでくれていたのがうれしくて、ついニヤけてしまったのは秘密です。

その人は記事の導入とまとめは読まず、本文をところどころじっくり読んでいる様子でした。「GDPR」という文字を何度かクリックしていたので、GDPRの話が気になっているのかなと思いました。

2本読んだあとはトップページから「デモを見る」のページへ。またトップページに戻って「for Enterprise」のページを見て、お問い合わせのページへ移っていました。トップページで行ってほしいと思っていた場所に、ちゃんと来てくれていたんです。

でもお問い合わせは送っていませんでした。問い合わせ内容を選ぶチェック欄のあたりを見つめて、そのまま帰っていました。

問い合わせ内容を選ぶチェック欄のあたりで止まっていました
問い合わせ内容を選ぶチェック欄のあたりで止まっていました

Claudeの読みはこうでした。文字を何度もクリックするのは、その言葉を選んでいる動きに見えるそうです。コピーして検索したりメモしたりしたのかもしれません。

動きが早いのは迷っているからではなく、確かめたいことが決まっているからだと考えられる、とのことでした。記事で関心を持って、製品を確かめて、問い合わせ先を見る。検討するときの順番どおりに動いています。

送らなかった理由はリプレイだけでは決められないそうです。考えられることとしてClaudeは3つ挙げてくれました。

  • 聞きたいこと(GDPRへの対応など)が、問い合わせ内容の選択肢になかった
  • まだ情報を集めている段階で、何を頼めるのかを確かめただけだった
  • 電話番号が必須なのを見て、ためらった

あわせて、次に見るとよさそうな場所も教えてくれました。

  • 「for Enterprise」のページに、GDPRや海外への対応の話が書いてあるか
  • お問い合わせのページで、同じように送らずに離れている人がほかにもいるか
  • GDPRの記事から、お問い合わせへ進む道があるか

あと一歩のところまで来てくれていた人がいたと分かって、次に見る場所がはっきりしました。

まとめ

ここまでの話を、5つにまとめます。

  • 見ながら「見えたこと」「思ったこと」「分からなかったこと」をメモして、スクショと一緒にClaudeに渡します
  • データが少ないページでは、はっきりしたことは言えません。まずは訪問の多いページから見るのがおすすめです
  • 「このページで何をしてほしいか」を決めると、同じヒートマップでも課題が見えてきます
  • リプレイで「なんでだろう?」と思った動きは、そのまま聞くと、自分では思いつかなかった理由が返ってきます
  • 答えだけでなく、次に見る場所も教えてもらえるので、慣れていなくても止まらずに進められます

データを眺めているだけでは、何が起きているのか分かりませんでした。かといってClaudeに読み解きを任せきりにしても、自分の身にはならなかったと思います。気づいたことをメモして渡すと、Claudeと会話しながら一緒に考えられるので分析をスムーズに進められました。

次は、あと一歩のところで帰ってしまった人のことを考えながら、お問い合わせのページを見てみたいと思います。リプレイが多すぎて追いきれない悩みには、QA ZEROのデータをClaudeにつないで、見るとよさそうなリプレイを選んでもらう方法(AI連携(MCP))もあると聞きました。そちらも試してみたいと思っています。


Q&A

Q. Claude以外のAIでもできますか?

私が試したのはClaudeだけです。スクショなどの画像を読み込めるAIであれば、同じやり方を試せると思います。

Q. データは何件くらいあれば読めますか?

何件あれば十分、とは言い切れません。今回は、41件のページでは「次に確かめることの候補」まで、182件のトップページでは使われ方の傾向まで読めました。データが少ないうちは、色だけで決めないようにしています。

Q. Claudeの答えは、そのまま信じていいですか?

答えは「理由の候補」として受け取っています。お問い合わせを送らなかった理由のように、Claude自身が「リプレイだけでは決められない」と言うこともありました。教えてもらった「次に見る場所」を、自分で確かめるようにしています。

Q. ヒートマップを見る期間はどう決めればいいですか?

ページのデザインやメニューを変えた日より後の期間で見ると、正確に見られます。変更をまたぐ期間では、クリックの位置がずれて見えることがあります。

Q. QA ZEROのデータを、外部のAIに渡しても大丈夫ですか?

まずは、会社で外部のAIサービスを使うときのルールを確認してください。そのうえで、渡すスクショに個人が分かる情報が写っていないかも見ておくと安心です。なお、セッションリプレイには、フォームに入力した内容は記録されません。

ほかの質問と答えは、ヘルプページのよくある質問に載っています。


出典:QA ZERO公式ドキュメント(ヒートマップ/ヒートマップバージョンについて/セッションリプレイ/よくある質問)

この記事を書いた人

広報担当・杏野(あんの)

QAシリーズの広報担当。文系出身で、入社したころはCookieはお菓子のことだと思っていました。今も専門家ではありませんが、わからないことはその日のうちに開発チームへ聞きに行くようにしています。覚えたての知識を、読者のみなさんと同じ目線で記事にしています。

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