Webサイトのトラッキングってじわじわと厳しくなってきていますよね。サードパーティーCookieの規制でコンバージョンの計測も難しくなってきています。いろんな対応が考えられる中で、何を考えて、どうすればいいのか?ということについて月曜日のトラの西さんと丸山が話しました。今回も1万1千文字ぐらいと長めの記事です。
西さんのキャリアについて
早速なんですけれども、西さんが普段されているお仕事は主にどんな感じなんでしょうか?
GA4に限りはしないんですけども、基本的にはGAを使ったデータ分析、あとはその導入支援が一番大きな業務として占めています。最近だと、Google Search ConsoleのデータがBigQueryエクスポートできるようになったりしたので、BigQuery周りの仕事も増えてきていますね。
西さんがこの分野に携わるようになった経緯みたいなところを、教えていただけますか?
私のプロフィールを説明する資料がありますので、それを使って説明しますね。社会人になってから早い時期にアクセス解析をはじめました。
確かにだいぶ早い時期ですね。
2006年から社会人になって、Visionalist(ビジョナリスト)からアクセス解析をするようになりました。最初の1年ぐらいVisionalistを使って、途中でGoogleアナリティクスが出てきたので試験的に入れてみたりとか。あとは当時だとガラケーの計測ですね。
まだスマホが登場する前ですか。
そうですね。特に不動産の会社だったので、ガラケーで検索をするみたいなところも多かったので、RTmetrics(アールティメトリクス、パケットキャプチャ型のアクセス解析ツール)を入れたりしましたね。
ガラケーだからJavaScriptが動かないですしね。
その後に広告代理店に転職して、ここで初めてAdobe Analytics、当時のSiteCatalyst(サイトカタリスト)に触りました。GAの導入支援・分析支援を始めたので、広告とアクセス解析を組み合わせていかにレポーティングをするか…と、そんなことをやってました。
もう少し前だと、僕は中学ぐらいからWebサイトを作っていて、CGIのアクセスカウンターとか、あとは当時、忍者アクセス解析がいろんなサイトに入ってたじゃないですか。だから、アクセス解析で最初に触れたのはCGIのアクセスカウンターになりますね。
ありがとうございます。今はお客さんのニーズとしてはGA4の方が多いけれども、そこからBigQueryを扱っていると。CRMもやられていたんですね。
そうですね。ただ当時はそれをやろうとすると、まだまだ重たすぎるというか、データ処理的に追いつかなくて。ExcelとかAccessを夜の22時ぐらいでポチっと押して、翌朝見るみたいな時代だったんですよ。100万行のVLOOKUP的な処理とかって普通にやったら重たすぎますし。だから、BigQueryってすげえいいなと思いますね。
トラッキングってどうすればいいの?
「データを取得しにくいこの時代マーケットはどう抗うか」っていう記事を拝見して、マーケターの人に向けて、本当にわかりやすく書かれた内容だなと思ったんですよね。
最低限、絶対知っといてほしいことに絞って伝わるように書かれている記事だなと。その分多分、削ぎ落とした部分とかもすごくあるんではないかと思っていまして、本当は書きたかったけど、いくつか削ぎ落としたんじゃないかなと。今日のテーマとしてはトラッキングの部分が、今後どうなっていくのかを聞きたくて、西さんの中で「今年はこう」「来年はこう」みたいなイメージが、あったりしますか。
ありますね。このあたりは皆さん共通の見解だと思うんですけど、トラッキングの話って大きく分けて二つあります。法的な話と技術的な話、主にITPとか、ChromeのサードパーティーCookieブロックのような部分に切り分けられるじゃないですか。
技術的なトピックの方に関しては、IM-UIDみたいなものは少し出てはいるけど、これも言ってしまえばフィンガープリントですよね。IPアドレスとユーザーエージェントと、あとはいろんな情報を掛け合わせてみたいなところだと思うので、その中でIPアドレスが欠ける(※)のは個人特定の観点でいくときついんじゃないかなと思うんですよ。
※参考URL:https://developers.google.com/privacy-sandbox/protections/ip-protection?hl=ja
これはですね、私も思ってまして。
QAアナリティクスとQA ZEROは基本的にこのIPとユーザーエージェントを使っています。なるべくIDが一意になるように、IDを振るっていう仕組みにしてるんですよね。おっしゃるように、CookieかIP以外にないからこうしたと。
そうですよね。割と僕はIPって移ろいやすいなと思っていて、さっきお話した不動産会社でRTmetricsを入れた時にも、個人の特定の技術はCookieを使うこともできたんだけど、その場合は「自分たちで実装してね」になってしまっていたので、標準的なやり方としてはIPとユーザーエージェントで個人特定します!RTmetricsで!みたいな感じだったんですよ。ユーザーエージェントは、そんなにしょっちゅうブラウザを変えることはしないので、まだ大丈夫かなと思うんですけど、IPが移ろうのはどうなのかなと。
あとはそうですね。グローバルIPはいろんな方が、そこのIPに乗っかるようなイメージになるので、そういう点でも、個人の識別がどうなるのかなと。より個を特定するために、機械学習とかもカバーしているのがIM-UIDだよねと思いつつ、ベースの部分はやはりIPになるので、それが欠けてしまうと厳しいのかなって、個人的には感じていますね。
私もおっしゃる通りだと思いますね。QAアナリティクスを開発するときに、基本的にどこまでいけるかという問題を考えたんですけど、元々QAアナリティクスの根本のポリシーはプライバシーを保護するなんですよ。なので、IPアドレスも保存しないですし、匿名なんですよね。その中でなるべく維持できるものは何かって考えたときに、せいぜいセッションまでだなって。
なるほど。
それ以上を追跡するとしたら、機能としては1日ごとに変わるようなハッシュを入れて、追跡はそもそもできませんよ、と。ただセッションが切れちゃうのはさすがにつらいので、そこまではキープします。基本はそっちのネガティブな方の考え方で作ってます。いくら、機械学習とかで補完するのかとか、いろんなことを考えたとしても、実現するのは難しいかなって思うので、僕も西さんと同じ考え方ですね。
そうですね。もうそういうモノなんだろうとは思っていましたね。でも、おっしゃる通りで、セッションで特定できればまだアクセス解析ができるなって感じます。
少し話が逸れるんですけど、僕が電通イーマーケティングワン(現:電通デジタル)にいたとき、クライアントさんでUrchin(アーチン)を入れてるお客さんがいて、Urchinもちゃんと設定すると、Cookieベースでいう個が判定できたらしいんです。その会社さんはそれをやってなくて、もうPVだけで分析するみたいなことを強いられたことがあるんですけど、それはもう本当きつかったですね。全然わかんねーなと。
どんな感じになるんですか?PVだけの分析ってやったことがなくて。
PVがわかるのでこのページにいっぱいアクセスされてますとかは当然わかるから、そこから仮説を立てていくんですけど、PVってインデックス的な役割を持つページだったら、いっぱい叩かれちゃうじゃないですか。だから、そもそもサイトってこう見られるよねっていう、暗黙値みたいなものがわかっていないと、PVだけで分析するのは、相当至難の技なんじゃないかなって。
証拠が足りなすぎるみたいな、感じですかね。
同意バナーとかCookie規制の話
セッションだとそこがちゃんとユニーク化されているので、ここを実際に見たらこの数ってこんなもんですよねって、ある程度つかめます。PVだけはきつい感じはしちゃってますね。
今はGAでCookieが捨てられたときに、pingを飛ばすみたいなやつあるじゃないですか?
ありますね、同意モードです。
同意モードの計測ってそれに近いと思ってて。今お話してる暗黙値的な部分が、多分、機械学習で補完されてるイメージになるんだと思うんですけどね。本当にPVだけで評価をしようとすると、普通の人はアクセス解析ってしんどいって感じちゃいます。
いやあ、そう思いますね。Ping、GA4の話でいうと同意モードで実際にQA ZEROのサイトに、Cookieのこのバナーを入れてみたんです。こちらはWordPressのプラグインなので、次へ次へと押していくと、うまくサイトのCookieを自動判別してくれて、設定をちゃんとしてくれたんですよね。もう自分でやるのが面倒くさすぎて、この同意ツールを入れたんですけど、そうすると、Google側の同意モードがオンにできないんです。
そうですね。これは同意モードにデフォルトで対応しているCMPとかを使えば比較的簡単です。例えば日本だとOneTrust(ワントラスト)などが主流だと思うんですけど最近対応されたようですね。あとはSimoさんのブログとかを見て、頑張って実装するか。
同意モードはそういうことなんですね。
西さんの予測では、今後このCookieの規制は、日本に来ると思いますか。
個人的には、どちらかというと、日本には来ないんじゃないかなって気がしてはいますね。
僕もあんまりこのへんってそんなに詳しくないですけど、そもそもヨーロッパで、Cookie規制みたいなのが強く言われてるのは、欧州が個人主義だからみたいなお話があるじゃないですか。個人でデータを取る取らないっていうところも、ちゃんと管理できないと駄目であるみたいな。自分たちで責任を持ってコントロールする、コントロールできるという部分が求められることがあるよ、と。
日本人は一般論でいうところの集団主義なので、そこがあんまり明確に求められなそうだなって思ってます。あとは、なんだかんだで日本人はばらつきはありますけどデータを活用をしっかりやってるので、それが取れなくなるのはしんどい、って考える人の方が多いのかなって感じがしているんですよね。
おっしゃるように文化の違いと、あともう一つは、これは個人の勝手な考えなんですけど、日本はどちらかというとアメリカよりなので、アメリカのビッグテックが不利になりすぎるようなところに、あまり舵を切らないんじゃないかなという。
確かに、そういう観点はありますね。
日本人ってデータで遊ぶのが好きなんじゃないかなって思うんです。海外がどうかわからないですけど、例えば、選挙の速報とか結構ちゃんとやったりするじゃないですか。得票率みたいな表示とか、そういうのを緻密に、かつ速報的にやったりしますよね。
あとは何でしょうね。紅白歌合戦の紅組白組の得票状況みたいな話とかを考えると、データで遊んだり、データをエンタメに変えていくことが得意なのかなと。だから、データを活用しながらサービスをよくしていくみたいな部分を、みんながちゃんと理解してやってくれてるような気はするんですよね。
確かに、解析士協会の江尻さんが海外に出たときに驚いたってお話の中で、まさに西さんが言われたように、海外の人の方は全然データを使ってないとおっしゃっていました。こんなにちゃんとやってるのは日本人ぐらいかもしれんみたいな。
※森野から横やり:スポーツに関しては異常なまでにデータがあります。4大メジャースポーツの中継を見ていると細かいネタ的な数字も出てきます。
ただ一つ、僕もその実務ベースで困ってることがあって。これから、日本はインバウンドで海外の人を呼ぼうとしているじゃないですか。そうすると、特にホテルとか観光系のサイトにCMPを入れざるを得なくて…。ヨーロッパから来た人は基本的にはGDPRのルールに沿ってやっていくので、同意するまデータが取れないみたいな感じになってしまうんです。これからインバウンド頑張ろうと言っている日本にとっては、そこだけはすごくネックというか、しょうがないんですけどそうなっちゃったなって。
そこは技術で何とかしたいですね。
インバウンドでやろうとしてるところだと、取れなくて仕方ないよね、で終わってるような気はしていて。そういう意味で言うと、観光系のところに関してはQA ZERO入れていくとかいう話はあるかもしれないですね。
そうですね、そもそも国産のツールしか使えないという問い合わせもありましたし、海外向けの人にやるところは入れざるを得ないから、これから私達もツールの告知を頑張らないといけないですね。
これからはデバイスも変わっていって、トラッキング種類も機械学習を使うのかなどの問題があります。世界に絞ってしまうと広すぎると思うので、日本を想定して、データのトラッキングはどう実装していくのか、CDPとかでデータを溜めるべきなのか、BigQueryに溜めるのか。そのあたりは西さんの感覚的にはいかがですか。
トラッキングの仕方みたいな話は、もちろんCMPツールを入れる入れたいっていう話はあるんですけど、別にこの数年で大きく変わっているとは感じないですね。トラッキングだと、特にコンバージョンAPIの話ですよね。私が記事に書いた通りではあるんですけども、より個人情報を使って広告のコンバージョンを紐付けることが、技術的にはできる状態になってきている中で、それを本当にやるんですか?やらないんですか?というのが一つの判断としてあると思っています。今後トラッキングをしていく上で、大方針の一つとして考えなきゃいけない気はしていますね。
自社のコンバージョンの定義もしっかりしなきゃいけないんでしょうけれども、まずはコンバージョンAPI、いわゆるコンバージョンした人たちのデータを使って広告の精度を上げるってことを、するかしないかの大きな判断があるっていうことですよね。
そうですね。それが今まではCookieで、といっても匿名なIDを送ってたにすぎないんですけど、FacebookのコンバージョンAPIとか、Googleの拡張コンバージョンは、メールアドレスとか電話番号とかをアップロードして、それを紐付けるってことができちゃうので、それをやるかやらないかっていうところが大きいと思うんですよね。
企業の法務的な判断、姿勢が問われるということになります。
僕が書いた記事ではそれをやっていて、広告の効果測定はマーケティングのトピックとしてむちゃくちゃ重要ですし、それをやっていかないと広告の精度は上がらない前提です。当たり前なんですけど、まず「そういう情報を送ってるよ」って明示すべきだし、それをどこに送っているのかも明示をすべきで、その上で情報の紐づけという取り組みをやっていってほしいというのを主張しています。
裏でコソコソやるわけでもなく、ちゃんと自分たちはプライバシーを考慮してると表に出した上で、ビッグテックが用意してくれているプラットフォームのようなものを、使っていくのがいいんじゃないかってことですね。それがなくなってしまうと何もできなくなってしまうし、経験則がある人が勘でやるしかないみたいな状況になってしまいます。
そうですね。もう少し大きく言うと、広告の効率を良くしたいという思いは、自社が提供しているサービスやプロダクトをちゃんと知ってもらい、手に取ってもらい、広めていきたいという考えから出てくるものじゃないですか。そう考えたときに、広告の効率が悪くなってくるとそのサービスとかプロダクトを作ること自体をやめてしまう人が、当然増えていくわけです。
資本主義的な話でいくと、これが進んでいった先にある世の中、サービス・プロダクトの提供者が減っていった世の中って、本当にいい世界ですか?みたいな話は多分出てきちゃうと思うんですよね。それはすごい詭弁っぽい話もありますけど。
要するにマーケティングをないがしろにするというか、トラッキングができないがゆえに、だんだんそこの効率が落ちていって、結果的には会社としても立ち行かなくなる状態が起こってきてしまう。それを考えると、広告の効果測定はある一定程度はできていなきゃいけないけれども、勝手に個人情報を送るのはよくないでしょうと。第三者ですし!みたいなところもあるので、そこはちゃんと断りを入れましょうという感じですかね。
共感しますね。田中さんもおっしゃってましたけども、このままいってしまうと、お金を持っていて札束で行ける人たちは生き残れるけど、そうじゃない人たちの費用対効果がどんどん悪くなっていってしまって、いわゆるサービスの多様性が減ると。あとは、行儀の悪い広告が増える。
そうですね。トラッキングで考えることは、事前にどこまでやりますかみたいな判断が必要になってくるとこですね。だから技術的な話は、そんなに変わらないんですけど、その手前で、もう少し法務的な判断とか会社姿勢としての判断だったりとか、そういったものが求められる機会が今後増えてくるかなという印象ですね。
僕も法律家ではないので、法律的な見地からは伝えることはできないですけれども、その先に待っている未来的がこうだと思うとか、そういったお話はしていけるんじゃないかなと思いますね。
これからのコンバージョン計測について
ちなみに、企業が判断して、ちゃんと声を出して拡張コンバージョンの方を使っていこうと思ったときに、技術的に実装の難易度が高いものなのか、それともBigQueryを使ったら簡単なものなのか、そのあたりを教えていただけますか?
簡単ではないと思います。もちろん管理画面からアップロードできるので、それ自体は別に大変じゃないとは思うんですけど、運用的には大変じゃないですか。自動化をする前提になると、それなりに難しいかなとは思いますね。
何をもってコンバージョンを設計するか、というところも相談になりますよね、きっと。
完全にノーコードでとは言わないんですけど、情シスレベルでデータに関する知識をある程度持っている方がいればどうにかできると思ってます。最近ではtroccoの無償プランの幅が広がったというニュースに出ていまして、この中にいろんなコンバージョンAPIとかのコネクタがあって、それが無料で使えるんですよ。
なるほど。
要はそういうものを使えば、「比較的」ですけどノーコードとに近いレベルで送れるようにはなってきたので、だいぶ楽になるんじゃないかなって感じはしていますね。
なるほど。ここの部分で、図を使わずに説明するのは非常に難しいかもしれないんですけれども、多くの方がGA4、Google タグマネージャーといったツールや、BigQueryや話の出たtroccoなどがどういう関係性にあるのか、そもそも何なのかよくわからないみたいですよね。CDPもです。
この辺りのツールはどういう連携のイメージなんでしょうか。まずGA4は皆さん使われてると仮定して、ほぼGoogle タグマネージャーを入れてるでしょうと。
GA4とかGTMは割とわかる。CDPも何となく雰囲気はわかると思うんですけども、データウェアハウスとCDPが何なのかベースの理解が必要かなと思うんです。
troccoはそのデータウェアハウスに対して、各ツールで計測しているデータを送ってくれる。間に入ってETL(※)をやってくれるツールですね。GA4からBigQueryとか、セールスフォースからBigQueryとか、普通であればCSVでエクスポートしてインポートする作業が必要だと思うんですけど、それを完全に自動化してやってくれるツールです。
※ETL:Extract(抽出)、Transform(加工)、Load(格納)のこと
他にもこういったツールはあるんですか?
有名ところだとFivetran、DataSpider、あとCDataあたりですかね。
こういったツールを使うと手動で作業する地獄から解放されるのでいいですね。
こういうのを使って、コンバージョンAPI送るよって機能もあったりもするので、完全に「開発」っていう感じじゃなくてもいけるようにはなってきました。ただ、難しいは難しいので、サクッとマーケターがやるもんではないかなとは思うんですけどね。
話がそれちゃうんですけど、マーケティングそのものというよりは、マーケティングテクノロジーみたいなところを扱える人って、マーケターとはちょっと人種が違う気がしていて。向いてる向いてないが明確にある気がするんですよね。感覚的に。
数字に強いマーケターはどこにいる?
いわゆる人のタイプが違うみたいなイメージですか?
そうですね。割とエンジニアっぽいというか。もっと言えばマーケターも、感性的な人と、データっぽい人がいるじゃないですか。データっぽい人は比較的こういうのが得意だと思うんです。今までは、世にいるマーケターって感性っぽい人が多数派だったし、マーケティングでデータが占める比重がだいぶ大きくなっている中で、このあたりは普通の人が手を出しづらいというか、なんだそりゃみたいな感じになっちゃうと思うんですよね。
2024年に考えた方がいいことを西さんにお聞きしようと思ってたんですが、企業のマーケティング部にはおそらく感性系の方が多い会社さんが多いですよね。そうすると、広告効果が落ちるらしいって話が最大の関心事になってきます。一方でデータのトラッキングの部分が抜けがちというところを含めて、感性の方が多いマーケティング部の方に用意しといた方がいいんじゃないか、こういう風に考えた方がいいんじゃないみたいな、今年のおすすめ行動みたいなのってあったりしますか。
なかなか難しいですね。旧来的なプロモーションは、どちらかといえば万人に効くコピーを作るといったところが重視されてたと思うんですけど、今の世の中って完全に多様化みたいなところを受け入れた上で、100パターンぐらいいろんなパターンを作って、一気に放流してみよう。その中で勝ったやつが正義である!みたいなスタイルじゃないですか。意識転換の時代にいると思っているんです。
そこで重要なのって、データの話がメインだったり、データそのものじゃないにしてもデータを使いながら、パーソナライズを自動で走らせていくマーケティングテクノロジーみたいなものに対する理解があった上での、マーケティング企画だと思うんですよね。だからこの分野を学ぶことが必要にはなってくるかなって気はしてはいますね。
このあたりはどうやって学ぶといいでしょうかね?a2iさんだとちょっと違う気もしますし。
MAが専門ではないのであれなんですけど、MAやKARTEのようなツールでいろんなパターンを試してみる。手を動かしてやってみて、体験してみるのが一番いいのかなって感じはしていますね。なぜかと言うと、日本人はそういうところが弱いらしいんですよね。こうなったらこうする、こうなったらこうするみたいなのを、海外の人は面白がって作るらしいんですが、日本人は手が止まってしまう。しっかり考えすぎてうまくできない、みたいなところがあるので、とにかくやってみたらいいんじゃないかなとは思いますね。
深く考えすぎてしまって、まずこれでいいんじゃないっていう着地点が見つからないという。
それに近いかもしれないんですけど、感性の方が言われるのが「デジタルマーケティングに強い人材」です。そういう人は一体どこで見つかるのかと。あと誰に相談したらいいんだ問題ってのはまだ常にある気がするんですが。
僕もその質問はうまく答えられないですけど、デジタルマーケティング強い人材を考える前に、まず、旧来的なマーケティングに強い人材がいるわけじゃないですか。それと最近のデジタルマーケティングに強い人って何が違うんだろうって考えると、単純にITスキル的な話なのか、SNSに対するプロモーション企画が考えられるみたいな話なのか、多分その辺を多分明確にしないと、そもそも解像度が荒すぎるような気がして。
今のマーケティングってデジタルが少なからず入ってると思うので、そういう意味でも、そこの差分は何なんだ?みたいなところをちゃんと見極めるとこからがスタートなのかなと。
まずは現在地をちゃんと把握しようと。
特性だけでいえば、新しいものが好きです!とか数字に強いです!という特性的な話だと思うんです。ベーススキルみたいなところってあんまり、旧来的なマーケターと、デジタルマーケティングに強い人っていうのはそんな変わらないんじゃないかなって。
西さんの経歴を開いてて、数学は得意だったけど文系に行ったみたいなところがあったりとかして、そこを面白いなと思ったんですけど、組織的に動くにあたりいろんな方が必要ってなったときに、感性系の人とデジタル系列で、デジタル系の人はこういうのが得意な人は、こういうのが好きな人だと思うみたいな感覚はありますか?
そうですね。こういうのが得意な人よりかは、それが苦じゃない人って言い方の方が近いかなと。新しい物好きな人の方が多分向いてると僕は思ってます。それが嫌ですっていう人は、もう向いてない気がするんですよね。
なるほど。組織の中でデジタル担当の方がいないってことがよくあるパターンだと思っているんですけど、そういう場合はどういう組織体制がありそうですか?西さんみたいな会社の方と伴走して、何らかの体制を作ってくみたいのがありなのかなと思ったりするんですけど。
これは僕の持論なんですけど、取り組むべき会社なら、既にある程度は自動的に取り組めていると思うんですよ。通販事業者とか自動車保険とか。例えばニッセンみたいな会社って、別にデジタルマーケティングとか誰も意識してなかったけどやってたじゃないですか。必要に迫られて、そういうもんだって、なんとなく勝手にやっていた部分があると思うんですね。
今、デジタルマーケティングをやってない会社は、そもそも本質的にやらなくて済んじゃったところだから、本当にやる必要があるのかみたいな話があると思うんですよ。それが第1弾の仕切りかなとは思うんですけど。
はい。
当然、うまく進まないときには、デジタルマーケコンサルとかDXコンサルみたいな会社さんと一緒にやっていった方がいいかなとは思いつつ…。ちょっと変えただけだと変わらないかなって感じはして、必要に迫られてない会社に入れるのはしんどいっていうのが…僕の感覚としてはありますね。
サイゼリヤの面白い事例もありまして、めちゃめちゃ賢いというか試行錯誤した結果として、いろんなものを遅らせて入れてってるんですよね。以前はコロナの影響もあって紙に番号を書いて渡してオーダーするスタイルだったんですが、今はQRコードをスマホで読み込んで表示されるメニューから頼めるようになっているんです。
これであれば設備投資も不要ですよね。
いろいろ考えた結果として、自分たちに合うDXを選んでいるみたいな感じですね。あんまりDXが進んでない会社において、ここまでやれたら、こういう意思決定ができたらめちゃくちゃいいんだろうなとは思う一方で、なかなかできんだろうなって感じがしますね。
GA4が取っ掛かりでもいいのかもしれないけど、さっきのCMPの話だったりとか、企業のデジタルマーケティングどうするのってお話でこれだけの経験を持たれていて、いろいろ知ってる人がいないので、そういう相談には西さんがすごく一番適任な感じがしますね。
ありがとうございます。
あとは、森野さんが今回もブツブツ文句言いながら、記事にしてくれることを祈りましょうか(笑)。
ぶつぶつ言いながらまとめました!
丸山さんの活舌がとても悪く、AIでの文字起こしで「西さん」が「日産」となっていたことだけを報告いたします。
執筆:運営堂の森野