WordPressの次の成長プラン (WordCamp Asia 2024 参加記録その2)

WordPressの次の成長プラン (WordCamp Asia 2024 参加記録その2)

基調講演からWordPressの未来について

ちょっと日がたってしまいましたが、WordCamp Asia 2024の参加レポートその2です。(その1
基調講演のノエルと最終日のマットに繋がっていたWordPressの未来。
面白いセッションだったので2つご紹介します。

Noel Tockの基調講演

WordPressでエンタープライズサービスなどを展開する大手企業HumanMadeのノエル・トックによる基調講演です。まんまのタイトル「The Future of WordPress」です。
めちゃくちゃ面白かったのですが、44回しか再生されていません。2週間前に公開されたばかりなので、まだ知られていないのかもしれませんね。

「次のWordPressのS字カーブ(成長曲線)」が主なテーマでした。
以下のスライドが示しているように、WordPressは成長曲線の終焉にいて、新しい成長の起爆剤が必要な状況にあるということです。

この未来のS字カーブのために、Noelが強調していたのは下記3つ。

  • マーケットへの正しいアピール
  • プラグインの魅力の再発見
  • AIによるノーコードの推進

マーケットへの正しいアピール

WordPressは古いアーキテクチャで、コンポーザブルなCMSではないと言われるが、それは間違っていて、WordPressのコア機能は強力で、柔軟性が高く、主要な問題ではないと語られました。

むしろWordPressのような膨大なコントリビューターがいる巨大なオープンソースコミュニティは類をみないものです。この力がうまく発揮されれば、マーケットの様々な要求に答えられるポテンシャルがあるのに、それが知られていないことが問題だという指摘です。

プラグインの魅力の再発見

人々が欲しいのはWordPressではなく「やりたいこと」であるという認識のもと、Appleストアのように人々が使いやすいプラグインディレクトリを作ることが重要だと語られました。またプラグインによる、他プラットフォームとの連携も重要だと語られました。

AIによるノーコードの推進

AIエージェントを使って、ノーコードでユーザーがやりたいことからウェブサイトの構築などができれば、かなり強力なプラットフォームとなるだろうという指摘です。新しいダッシュボードが求められているのかも知れません。

Matt Mullenwegの基調講演

WordPress共同創業者マット・マレンウェグの恒例のQ&Aセッションです。参加者から「このイベントに参加してでどんな教訓がありましたか?」という質問がありました。
Mattの答えは、「Noelのセッションで一番触発されたのは『PluginのAppleストア化』だ。困難はあるけど、ぜひやっていきたい」というものでした。

※動画は該当のところから始まります。

WordPressはオワコンなのか?参加して思うこと。

Noelのテーマでも語られたように、WordPressは世界中で成長に陰りがみえているのかも知れません。実際に日本でも若いエンジニアさんはWordPressやらないらしいという、気になるるっちんさんのツイートも。

イメージというのは恐ろしいもので、一度そう思われると、買収でもされない限り払拭するのは難しかったりします。 いくら事実とは異なっていたとしても。

WordPressの未来=バランス型資本主義の未来?

私がしばしば参加していて思うのは、WordPressというのは、ある種、資本主義のメインストリームとは少し外れた世界にあるということです。オープンソースという文化がそうさせるのか、なぜかはわかりませんが、そう感じます。そして参加している側としては「何か貢献しなくては」と常に心の片隅に思うことになります。

もちろん良い部分と悪い部分があるとは思うのですが、これはコミュニティと企業との関わりという意味ですごいモデルケースなのだろうと思っていて。

それでいうと、晩年のP.F.ドラッカーが日本に期待していたその主要因の一つが、コミュニティと企業が上手に関わっているからだったのですよね。

そういえばWordPressって日本のシェアがとても高く、かつ今回のNoelやMattもよく日本を訪れてくれていると聞きました。相性がよいのかも知れません。

新しい和洋折衷が起こるか?

とはいえ、やはり日本もそうですけど、鎖国のように関係が固定化しすぎると、どうしても弱くなってしまいます。そういう意味で、今WordPressは転換期に入っているのでしょう。

これは私なりの解釈も入りますが、WordPressの未来は、和洋折衷、つまり異文化を受け入れ融合していくオープン性が握るのでは?ということです。

AI時代は追い風

  • AI時代には、Webサイトというより分散とブロックデータの流通方法が鍵となり、WordPressはそのポテンシャルがある。
  • WordPressの魅力はオープン性と巨大なコミュニティであり、その力が発揮されれば、様々なプラットフームと接続し、ユーザーに多用な利便性を提供できる
  • プライバシー問題が大きくなる中で、データオーナーシップやオープン性の重要度も増している

AIにしろマルチデバイスにしろプラットフォーム連携にしろ、全てがデータであり、その透明性が求められる時代がきました。そして、最近の若い人達は、多様な価値観をもっており、WordPressに流れている哲学を気に入る可能性もあります。

この条件を考えた時、WordPressの未来は、思ったより明るい気がするのです。

私も少し異文化から入った身として、WordPressの魅力を少しでも発信できたらと思います。

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